2025年5月18日(日)「銀座の石の探検隊 2025」が開催されました。
昨年の1〜4丁目編に続き、今回は銀座5丁目から8丁目を探検。
老舗から最新の建築までが並ぶこのエリアには、世界各地から集まった美しく貴重な石材が数多く使われており
まさに“石材の博物館”のような街並みです。
日曜日の朝早く、少し眠そうな面持ちで集まった子どもたち。
ナビゲーター・西本先生の軽快な説明が始まると、「銀座の石マップ」を手にすぐに探検モードに切り替わっていきます。
「しゃがむ」「のぞく」「確かめる」──全身で感じる街。
参加者たちは、目線をビルの“床”や“壁”に落とすことで、ふだんとはまったく違う銀座を見つけていました。
Photo : Ko Tuchiya
「なんか宝探しみたい」「石の国って感じがする」
ひと気の少ない休日の朝の銀座。みゆき通りから探検はスタートしました。
「ここがみゆき通り。昔、天皇陛下がお通りになった“御幸の道”と呼ばれた場所だよ」
そんな説明を聞きながら、足元を見つめる子どもたち。
歩道に敷かれているのは、「ポルフィールド」と呼ばれるアルゼンチン産の流紋岩。
一枚一枚、赤や茶、グレーなど微妙に表情が違う石が並びます。戦後の銀座再整備の中で、「ただ歩く道」ではなく「皇居へと続く重要な道」にふさわしいと、この石が選ばれたのだそうです。
ヨーロッパの街路のように美しく、そして長く風景に寄り添うために。
「見て!これ、アンモナイトじゃない!?」
ビルの外壁に、ぐるりと巻いた化石を見つけた女の子が、思わず指差しながら笑顔に──
街の中に“太古の生きもの”がいるなんて、誰が思うでしょう。
第7セントラルビルのペルリーノロザート(イタリア産石灰岩)からはアンモナイトの化石が発見され
「これって本物?」「ここに巻き貝もいる!」と、大興奮。
また、こゆるぎビルや銀座国際ホテルなどでも
石灰岩の中に隠れた海洋生物の痕跡を次々と見つけていきました。
ブラックギャラクシー(インド産斑れい岩)がキラキラ光る YAMAHAビルの外壁に
自分の姿が映るのをみて、まるで、自分が宇宙を漂っているような空想を味わったり。
石を通じて、目の前のビルが“太古の地球”とつながっている──
そんなスケールの大きな感動が、こどもたちの中にそっと芽生えていたように思います。
午後の部では、今回の探検で気になった石を、参加者がひとつずつ選んで発表。
それぞれが見つけた小さな発見に、西本先生が笑いを交えた解説を加えてくださり、大盛り上がり。
「なるほど!」の声があちこちから上がって、驚きと納得が交差する、楽しく深い学びの時間となりました。
「石は、ただの石じゃないんだね」
地球の歴史と科学、そして“美しさ”が詰まった石の話を、
子どもたちはじっと、まっすぐな目で聞いていました。
今回の探検で出会った石は、
イタリア、インド、ブラジル、ノルウェー、ギリシャ、パキスタン、日本各地…
遠い土地の大地の記憶が、銀座という街に、静かに息づいていることを、
子どもたちも大人たちも同じように、肌で、目で、心で感じとっていました。
「銀座の石の探検隊」は、街そのものを教材に変えていく試みです。
五感で感じ、仲間と学び、未来へつながる知識と感性を育てるこのプログラム。
また来年も、私たちたちと一緒に“石”と“地球”を探しにいきましょう。
協力:アルマーニ銀座様、サッポロライオン様、SMBC様 他