9月8日(日)、秋の気配がほんのり漂う鎌倉で「縄文タイムトラベル・トレーニング編」の2回目が開催されました。6月に引き続きナビゲーターは、アウトドアの達人・寒川一さんです。10月の「縄文タイムトラベル」に参加する子どもたちと、その保護者の皆さんが協力し合いながら、自然と共に生きる知恵を学び、いざという時にも役に立つさまざまなアウトドアスキルに挑戦しました。
Photo : Kaito Chiba
湧き水を探し、火を熾し、そしてナイフを手にする
鎌倉の市街地から緑豊かな鎌倉山へと足を運び、湧き水を探すトレッキングで一日がスタートしました。苔むした山道を進むと、水が静かに湧き出る場所にたどり着きます。この水源から汲んだ水を浄水して煮沸する方法を学びました。自然の中で水を得る知恵に触れ、子どもたちは一歩ずつ「生きる力」を身につけていきます。
その後、小枝を拾い集め、土を掘りおこして火熾し台を作り、自分たちで火を熾す体験も。火がついた瞬間の子どもたちの笑顔は、まるで小さな冒険者そのものでした。自分たちでおこした火と浄化した湧き水を使ってお米を炊き、地元の新鮮な野菜で簡単な食事を作る。こうしたプロセスの一つひとつが、普段の生活では得られない貴重な経験となりました。
ナイフを使うスキルを学ぶ – 自然と対話し、自己と向き合う
この日の特別な学びの一つは、ナイフの使い方でした。寒川さんはまず、ナイフの安全な握り方や、木を削る際の手の位置、力の入れ具合を丁寧に指導しました。参加した子どもたちは、最初は少し緊張した様子でしたが、次第に慎重さと集中力を持ってナイフを使いこなしていきます。
自然の素材から必要な道具を作る技術は、単なるサバイバルスキルではありません。ナイフの使い方を通して、その道具を扱う「責任」や「自分を律する力」も学んでいく子どもたち。寒川さんからは「道具には力だけでなく、心も込めて扱うことが大切」という言葉が。拾った枝をナイフで削ってシンプルな道具を作り上げることで、彼らは自然との対話と、自分自身と向き合う時間を持つことができたかのようです。
火と水、そしてナイフ – 自然と共に生きるための学び
美味しい食事を堪能したあとも後も学びは続きます。余った枝を元の場所に戻し、火床から拾い集めた灰を土に還す。自然の循環を実感する時間が設けられました。寒川さんが『花咲か爺さん』の物語を引き合いに出しながら、自然の循環と私たちの生活のつながりについて語ると、子どもたちはその話に静かに聞き入り、自然への感謝と敬意を学び取っている様子でした。
糸魚川縄文遺跡での実践編で、さらに成長する子どもたち
このトレーニングで得たスキルと知識は、10月に新潟県糸魚川市の長者原縄文遺跡で開催される「縄文タイムトラベル・実践編」に向けての大切な準備です。湧き水の浄水から火熾し、ナイフの扱いまで、子どもたちは「生きる力」を一つひとつ積み重ねています。自然の中で学び、成長する姿を、次のステージでも見ることが出来ることでしょう。次のレポート公開をお楽しみに。