10月半ばの秋の爽やかな日差しの中、子どもたちだけの挑戦「縄文タイムトラベル・実践編」が幕を開けました。6月と9月の「トレーニング編」で顔を合わせた仲間たちとの再会に笑顔がこぼれ、オリエンテーションではお互いにフィールドネームを決めて、いよいよ「縄文タイムトラベル」の世界へと一歩踏み出しました。親元を離れての2泊3日、縄文の暮らしを通じて自立心と創造力を育む冒険が始まります。
Photo : Kaito Chiba
仲間とともにルールを作り、”縄文の暮らし”に触れた1日目
プログラムの最初に行われたのは、みんなで過ごすためのルール作りです。縄文の世界に飛び込むためには、何よりも仲間とのつながりと協力が大切です。
フィールドに出ると、まずは夜の寝床を作るために干し草を集めます。広がる秋の空の下、子どもたちは草の感触を確かめながら干し草を抱え、竪穴住居に敷くマットを自分たちの手で作り上げます。この上に寝袋を置いて寝ることになりますが、どんな感覚になるのか、子どもたちは少しワクワクしながら準備を進めました。
水源の恵みと火の挑戦 – 生活の基盤を自分たちで作る
森の奥、縄文時代から使われてきた水源で水を汲み、自分たちの手で浄水する作業も体験しました。普段、蛇口をひねれば簡単に手に入る水が、ここでは限りある貴重なものとして扱われています。この「水を得る」という行為一つに、自然への敬意と感謝の心が芽生えていきます。
さらに、一人ずつのかまどを作り、森から拾い集めた柴を使って火を熾してご飯を炊きます(この挑戦は毎朝毎晩合計4回行われ、「最後には美味しいご飯が一人で炊けるようになろう!」が、旅の目標のひとつとなります)。燃えやすい木とそうでない木の違いを学び、集めた材料でメタルマッチを使った火熾しに挑戦しました。火がつかなければご飯が炊けないという現実に、子どもたちも真剣そのもの。何度も火を擦りつける手が少しずつ疲れていく中、「もう一度やってみよう!」と励まし合いながら、ついに火が灯ると、みんなで歓声をあげました。この日の献立は自分で炊いたご飯と猪のカレー。きっと普段の食事とは違う、達成感あふれる特別な味わいだったことでしょう。
夜のプログラム – 翡翠の物語と、縄文時代に想いを馳せる
夜には、翡翠職人の山田さんが特別なゲストとして登場。縄文時代から続く翡翠の歴史や、その美しさに込められた意味についてお話をしてくださいました。山田さんが手で磨き上げた翡翠の石を見つめながら、子どもたちは目を輝かせてその話に聞き入っていました。さらには、山田さんが土から作った天然の顔料を使い、ボディメイク体験も。自分たちの腕や顔に模様を描くと、まるで縄文人に変身したような気分になって子どもたちは大喜びでした。さらに、翌日みんなで乗る予定の「丸太舟」についてのエピソードも披露され、期待と興奮が膨らみます。
縄文の暮らしの中での「リスペクト」
子どもたちが、干し草を敷いた竪穴住居で寝袋にくるまる頃、満天の星が夜空に広がります。この日、眠りにつく前の振り返りタイムで、寒川さんが子どもたちに提案した「お互いをリスペクトする」というルールは、自然の中で協力し合って生きるために大切なこと。子どもたちは、お互いを尊重し、認め合うことの大切さをこの3日間で少しずつ理解してくれたことと思います。 〜つづく〜