REPORT vol.11
開催日 : 2022年6月17日(土)
対象年齢 : 親子 / 小学生 (7~12歳)
ナビゲーター : 寒川 一
場所 : 大楠山(横須賀SHOKU-YABO農園)
[ NATURE ]
6月17日の梅雨の晴れ間、SAYEGUSA &EXPERIENCEの一行は、横須賀市の大楠山へと足を運びました。この日のプログラム「火と水と木と土と」は、アウトドアの達人である寒川一さんがナビゲート。生きるための“逞しさ”と“優しさ”、そして災害時にも役立つスキルを学ぶ一日となりました。
自然と四季が大切にされ、上皇陛下もよく訪れられる大楠山。ここは三浦半島で一番高い山で、1時間弱のトレッキングは自然の豊かさを肌で感じることができる絶好の場所です。大楠山から見下ろす絶景は、とても感動的でした。
トレッキングの後は、SHOKU-YABO農園で自然を五感で感じながらの活動が待っていました。小さな沢から水を汲んで浄水し、森からいただいた火種を使って自ら火をおこし、農園で収穫した無農薬の野菜と共にご飯を炊き、おいしいランチをいただきました。
寒川さんがプログラムの最初に説明してくれた「五行」(中国古代の哲学的な考え方)における、「木」「火」「土」「金」「水」の「互いを生す(相生)」と「互いを殺す(相克)」の関係を簡単にまとめてみると次のようになります。まず、「相生」とは、友だちが次の友だちをつくるような関係を言います。これを「木」「火」「土」「金」「水」の順番で考えてみます。
「木」の友だちは「火」です。なぜなら、木を燃やすと火ができるからです。
「火」の友だちは「土」です。なぜなら、火が消えると灰になり、それが土の一部になるからです。
「土」の友だちは「金」です。なぜなら、土の中には金属が隠れていることがあるからです。
「金」の友だちは「水」です。なぜなら、金属が冷えると水滴ができるからです。
「水」の友だちは「木」です。なぜなら、水をあげると木が大きく成長するからです。
次に、「相克」とは、あるものが別のものを「ちょっと困らせる」関係を言います。これも「木」「火」「土」「金」「水」の順番で考えてみます。
「木」は「土」を困らせます。なぜなら、木の根が土を突き破って大きくなるからです。
「火」は「金」を困らせます。なぜなら、火が金を溶かすからです。
「土」は「水」を困らせます。なぜなら、土は水を吸収してしまうからです。
「金」は「木」を困らせます。なぜなら、斧(金属製の道具)で木を切ることができるからです。
「水」は「火」を困らせます。なぜなら、水をかけると火が消えてしまうからです。
この「五行」の考え方は、自然の中でのさまざまな事象や関係性を理解するのに役立つとされています。このお話を聞いたあとでさまざまなコンテンツを体験した子どもたち。火と水と木と土と、そして金。それぞれの関係や地球が循環するための要素を体験することで、それらの意味が深く心に刻まれた様子でした。
私たちは火と水と木と土とに生かされている。プログラムの最後には木が火となり糧を与えてくれたことに感謝を込め、綺麗に燃え尽きた灰を土に還したのでした。
寒川さんのお人柄が光ったこのプログラムでは、どこにでもある自然の素材を利用して、生活を豊かにする方法を学びました。自然と人間の関わりを肌で感じ、生きる力を育む一日でした。
このプログラムは、9月に開催予定の「縄文時代にタイムスリップ」へのファーストステップでもあります。このプログラムでは、子どもたちだけのキャンプが開かれ、新潟県糸魚川の縄文遺跡公園に立つ復元竪穴住居で宿泊します。大地と人の関わりを肌で感じながら、現代と太古、双方のアプローチから子どもたちの「生きる力」を育むチャンスです。寒川一さんの豊かな知識と経験をもとに、子どもたちに自然と人間の関係性を楽しみながら深く理解させます。縄文時代の人々が大地とどのように向き合い、その恵みをどのように活用したのかを実体験することで、現代生活に必要な「生きる力」を再発見する機会となることでしょう。皆さんのご参加を心よりお待ちしております。
2023年6月
SAYEGUSA &E事務局
Photo : Ko Tsuchiya