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grow with BOOKS vol.４
冒険する
冒険する
子どもは冒険が好きです。自分のやったことのないことをやり、行ったことのない場所に入り、できないかもしれないことに挑みます。ちょっと怖いけれど、自分はできるんだという不安と自信のせめぎあい。失敗するかもしれないし、泣いてしまうかもしれない。でも冒険は、具体的な目標を成し遂げることがたったひとつの目的ではないのかもしれません。挑むことそのもの、挑んでいる時間にこそ、成長と変化の本質が潜んでいるのです。いつもと違うたった一歩踏み出すだけで、冒険はもう始まっています。
『MAPS』
アレクサンドラ ミジェリンスカ／ダニエル ミジェリンスキ（徳間書店）
生まれた日本という枠を飛び出して世界に羽ばたく人になってほしい。そんな願いを持っている親も多いのではないでしょうか。世界42カ国の食べ物から歴史的建築、偉人、動物、植物、文化などの情報が、大きな地図をぎっしりと埋め尽くしています。知らない国を知るようになる入り口は様々ですが、統計データや国の写真よりも、様々なアイコンがその国の個性と他との違いを際立たせます。まだ見ぬ世界への扉はたくさんあります。
『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』
トーベン・クールマン（ブロンズ新社）
ハンブルクの一匹の好奇心旺盛なネズミは人間の図書館に忍び込んで本を読んでいます。ある日、人間に捕まることを恐れてニューヨークに渡った仲間のネズミを追いかけようと、空を飛んでいくことを考えました。改良を重ねた飛行機でニューヨークへ渡ったねずみの偉業は、その後の人間の未来をも変えていきます。小さなネズミがあまりに大きなことを成し遂げました。その好奇心と知恵、行動力、冒険する勇気は、小さな子どもにも大事なきっかけになるはずです。
『いま生きているという冒険』石川直樹（新曜社）
石川は、高校生でインドを旅して以来、北極から南極へ旅をし、さらに当時最年少で世界七大陸最高峰に到達。その後も古来の航海術や熱気球に挑戦しながら、“世界を経験する方法”としての旅を続けてきました。冒険家、登山家、写真家のどれでもありながら、どれかひとつでは言い足りません。これだけ世界をめぐりながら、どこに行くかが重要なのではないと石川は言います。散歩だって、毎日の電車にだって想像力があればそれは旅にも、冒険にもなるのです。
『霧の向こうの不思議な町』柏葉幸子（福音館書店）
夏休みは子どもの変化や成長の季節。6年生のリナは、お父さんの勧めによって一人で“霧の谷”へと旅に出ます。住んでいる人はみな“魔法使いの子孫”だというその町で、本屋さんやおもちゃ屋さんなどを手伝いながら過ごすことになったリナ。目の前に与えられた不思議で、飛び込む少しの勇気がいる出来事。大きな才能や能力じゃなくていい、好奇心と人を思うやさしさが、その行動に前向きな結果をもたらしてくれます。
『アルケミスト』パウロ・コエーリョ（角川書店）
ピラミッドに宝物が隠されているという夢を何度も見た少年サンチャゴは、夢を信じてエジプトへと旅に出ます。「心の声を聞くこと」「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれること」を胸に、様々な人や困難と出会い、人生の知恵、生きることを学んでいきます。目標が大きければ、乗り越えるのも簡単ではありません。でも耳を澄ませて、自分を信じること。宝物へとたどり着き、旅を振り返った時、たくさんのことに気づくことでしょう。
- grow with BOOKS
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かつて子どもだったみなさんは、どんな本を読んできましたか。読書はどんな存在でしたか。
圧倒的な好奇心と想像力で世界に挑み、気付き、驚き、喜び、恐れることを繰り返す子どもの日々にあって、“ホンモノの体験”と呼べる本、読書とは何か。子どもが感じる直感を実感へと繋げ、実感が新たなアイディアとなり、次なる直感を呼ぶ。科学の世界から想像上の世界まであらゆる事象を扱う本は、そうした子どもの成長の傍らにあって、時に先生のような、時にお守りのような、時に話し相手のような、時に未来そのもののような存在として、読んでもらえるのを今か今かと待っています。
感じ、考え、遊ぶ子どもたちの行動や経験を切り口に、日々の体験と読書体験が相互に関係し合い、互いの豊かさを引き出していく本をご紹介いたします。
Director：Hiroyuki Yamaguchi (good and son)
山口博之 プロフィール
ブックディレクター／編集者
good and son代表。1981年仙台市生まれ。立教大学文学部英米文学科卒業後、2004年から旅の本屋「BOOK246」に勤務。06年から16年まで選書集団BACHに所属。17年にgood and sonを設立し、オフィスやショップから、レストラン、病院、個人邸まで様々な場のブックディレクションを手掛けている。企業やブランド、広告のクリエイティブディレクションなども手がけているほか、さまざまなメディアで編集、執筆、企画などを行っている。
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